点字と墨字を同時印刷
視覚障害者と健常者が情報共有し用途拡大-日本テレソフト
点字プリンターの国内市場でトップシェアを誇る日本テレソフト。同社は、視覚障害者が指先で読み取る「点字」と、通常の漢字かな混じり文の「墨字」を同じ用紙に印刷する技術を開発し、それまで限定されていた市場を拡大しました。健常者と視覚障害者が同じ用紙で同時に情報を共有できるため、コミュニケーションの幅も広がり、多くの視覚障害者から喜ばれています。金子秀明社長にお話を伺いました。
点字プリンターの国内市場でトップシェアを誇る日本テレソフト。同社は、視覚障害者が指先で読み取る「点字」と、通常の漢字かな混じり文の「墨字」を同じ用紙に印刷する技術を開発し、それまで限定されていた市場を拡大しました。健常者と視覚障害者が同じ用紙で同時に情報を共有できるため、コミュニケーションの幅も広がり、多くの視覚障害者から喜ばれています。金子秀明社長にお話を伺いました。
日本語解析技術を応用ソフトもハードも開発廉価機器で福祉向上へ
日本テレソフトは、点字プリンターなど福祉機器の開発販売をはじめ、パソコンソフトの開発販売、インターネットの企画運営などを手がけています。同社の点字プリンターは国内市場の半数を占め、米国、欧州、アジア向けにも輸出されています。
創業は1986年。ソフトウエアの開発企業としてスタートしました。日本語の解析技術やデータの互換性技術に取り組んでいたところ、取引先の自治体から「点字文書の作成に苦労している」との声を聞きました。金子社長は「言語の解析技術は点字への文字変換にも生かせる」と、点字翻訳ソフトの開発に着手。さらに点字読み取り装置など、ハード面の開発にも取り組み、独自の点字プリンター「ドッグ・マルチ」を開発。これまで専門業者にしかできなかった点訳から印字まで一連の作業を誰でも簡単にできるよう製品化しました。点字を知らない健常者もパソコン画面に通常の文字を入力するだけで、瞬時に点字に変換しプリントアウトすることができます。
従来、点字プリンターの市場は盲学校や点字図書館など一部に限定されていましたが、点字と墨字が同時印刷できるようになり、その市場は大きく拡大しました。地方自治体が視覚障害者向けのサービスを向上させるために、同社のプリンターを導入する事例が増えました。電力会社やガス会社、水道局などの公益事業者にも導入され、各種請求書や領収書を点字と墨時で印刷するケースも増えています。一部の銀行や病院でも同様のサービスを始めました。
「ドッグ・マルチ」は、点字と墨時を同時に、同じ用紙に印刷できる画期的なプリンターで、同時印刷により、点字を読めない健常者も内容が確認できます。例えば、病院で受け取る薬の処方箋や電気料金の請求書の金額などを視覚障害者と家族やボランティアの健常者が同時に確認できれば、双方の安心につながります。点訳されてない図書も、健常者が文字をスキャナーで読み込み、パソコンで点字に変換して印字すれば、読んでもらうことも可能になります。従来の点字プリンターに比べ印字音も静かで、周囲を気にせずに印字できます。
これにより、健常者と視覚障害者の「情報を(健常者と)均一に得たい」との要望に応えることができ、「身近な情報を入手できる」と大変喜ばれているそうです。この技術は2003年の「東京都ベンチャー技術大賞」の特別賞に選ばれました。
金子社長は「当社の日本語解析技術を点字に応用することができた。ある分野で専門性を持つことが他の分野にも生かせる。今後せいちょうが見込める福祉分野で、さらに努力して世界の企業、オンリーワンの会社を目指したい」と意欲を示します。同社では海外向けにも積極展開しており、今後は中国をはじめとしたアジア市場向けの販売を強化していく予定です。「生産量を増やすことで一台あたりのコストを抑え、できるだけ安い価格で個人向けにも供給していきた。多くの人に使っていただき、喜んでもらいたい」。
財団法人関東電気保安協会発行
電気と保安 3月号より
創業は1986年。ソフトウエアの開発企業としてスタートしました。日本語の解析技術やデータの互換性技術に取り組んでいたところ、取引先の自治体から「点字文書の作成に苦労している」との声を聞きました。金子社長は「言語の解析技術は点字への文字変換にも生かせる」と、点字翻訳ソフトの開発に着手。さらに点字読み取り装置など、ハード面の開発にも取り組み、独自の点字プリンター「ドッグ・マルチ」を開発。これまで専門業者にしかできなかった点訳から印字まで一連の作業を誰でも簡単にできるよう製品化しました。点字を知らない健常者もパソコン画面に通常の文字を入力するだけで、瞬時に点字に変換しプリントアウトすることができます。
従来、点字プリンターの市場は盲学校や点字図書館など一部に限定されていましたが、点字と墨字が同時印刷できるようになり、その市場は大きく拡大しました。地方自治体が視覚障害者向けのサービスを向上させるために、同社のプリンターを導入する事例が増えました。電力会社やガス会社、水道局などの公益事業者にも導入され、各種請求書や領収書を点字と墨時で印刷するケースも増えています。一部の銀行や病院でも同様のサービスを始めました。
「ドッグ・マルチ」は、点字と墨時を同時に、同じ用紙に印刷できる画期的なプリンターで、同時印刷により、点字を読めない健常者も内容が確認できます。例えば、病院で受け取る薬の処方箋や電気料金の請求書の金額などを視覚障害者と家族やボランティアの健常者が同時に確認できれば、双方の安心につながります。点訳されてない図書も、健常者が文字をスキャナーで読み込み、パソコンで点字に変換して印字すれば、読んでもらうことも可能になります。従来の点字プリンターに比べ印字音も静かで、周囲を気にせずに印字できます。
これにより、健常者と視覚障害者の「情報を(健常者と)均一に得たい」との要望に応えることができ、「身近な情報を入手できる」と大変喜ばれているそうです。この技術は2003年の「東京都ベンチャー技術大賞」の特別賞に選ばれました。
金子社長は「当社の日本語解析技術を点字に応用することができた。ある分野で専門性を持つことが他の分野にも生かせる。今後せいちょうが見込める福祉分野で、さらに努力して世界の企業、オンリーワンの会社を目指したい」と意欲を示します。同社では海外向けにも積極展開しており、今後は中国をはじめとしたアジア市場向けの販売を強化していく予定です。「生産量を増やすことで一台あたりのコストを抑え、できるだけ安い価格で個人向けにも供給していきた。多くの人に使っていただき、喜んでもらいたい」。
財団法人関東電気保安協会発行
電気と保安 3月号より