盲ろう者用マルチ情報機器の開発

多重(視覚・聴覚)障害者の情報バリアをフリーにする
世界初のマルチ情報機器会話やインターネットの利用まで


㈱日本テレソフト(本社・東京 代表取締役金子秀明)では、このほど郵政省、通信・放送機構(TAO)のご助力を得て、「盲ろう者用マルチ情報機器」を開発、商品化いたしました。

この機器は、視覚・聴覚の多重障害に悩む方々が、健常者との会話やインターネットなどを利用できるようにするもので、障害者の情報バリアをフリーにする世界でも初めての商品です。

障害者の社会参加の機会を増やし、教育や生活支援を行うことの出来る機器です。この種の盲ろう者向けの専用機器は、これまでなく関係者からの強い開発要請を受けるとともに、郵政省、TAOの高齢者・障害者向け通信放送サービス充実研究開発助成金を受けて約2年間をかけ開発いたしました。

盲ろう者用マルチ情報機器は、点字を表示する「点字ディスプレイ」とパソコンを一体化したもので、健常者は、伝えたい情報を文書入力すれば点字のディスプレイに表示されます。また、障害者は専用の入力キーで入力するとパソコン液晶画面に日本語として表示されます。この情報のやり取りを新たに開発した点字自動翻訳ソフト、通信ソフトで行います。

また、障害者同士が遠隔地で情報をやり取りする場合、複数の機器を電話回線を通して結べば、遠く離れた場所でも「会話」を行うことが可能な「点字電話」ともなります。

さらに、インターネット情報の入手、Eメールの利用に対応しており、こうした総合的な情報マルチ機器は世界でも初めてです。

ヘレンケラ―女史

ヘレンケラ―女史のような視覚・聴覚の多重障害者(盲ろう者)は、日本に約2万人いますが、介助なしには情報伝達が全く不可能です。今回の製品は、点字を介して自由に障害者あるいは健常者との「会話」が出来るようにするもので、自由なコミュニケーションを可能にします。通信回線等の使用によって遠隔地間とのやり取りほか、インターネットも使用できる等、最新の情報メディアを利用できます。また、多言語対応も可能で、世界商品となります。

盲ろう者の情報手段は、目と耳が不自由なことから「触わること」を基本とします。具体的には、点字の符号をモールス信号のようにして伝える方法「指点字」、手話を応用した方法、点字印刷物に限られています。介助者が居ることが前提の方法で、電子化されていません。このために、情報の自由なやり取りには限界があり、また支援する機器も視覚障害者向けの機器を引用するもので、使用方法や使い勝手に極めて大きな限界があります。事実上、類似の商品はありません。

1. 盲ろう者を対象とした専用の機器で、操作が簡易で使いやすいこと。
2. 固定式でなく、持ち運びが可能な小型軽量で、操作性が優れていること。
3. 電話・携帯等の通信回線の使用で、インターネット、Eメール、iモードなど最新の情報も使用できること。
4. LAN等を使用してシステム化することで、会議や教室スタイルなど、複数の盲ろう者が同時使用して、学習や会議などが可能になること。
5. ソフトによって英語など多言語に対応できる世界商品であること。
に主な特徴があります。

本製品は、世界でも初めての盲ろう者用コミュニケーション機器です。障害者、関係家族の方から強い開発要請を受けるとともに、指導や意見を聞きながら基本仕様を確定、製品化しつつあります。

盲ろう者は、厚生省の推定値で2万人(盲ろう者の会などに参加している人は、約600人)ですが、すべてが点字を理解できるわけでなく、対象者は約4,000人と想定しています。この方々に、主に販売するほか、自治体窓口、教育、施設などに販売、さらに、アメリカなど世界への輸出も可能です。

未開発の市場を掘り起こす苦労はありますが、先発の優位性を生かした販売を行います。また、購入資金を自治体が援助する在宅福祉機器の指定を受けることで、個人購入が容易になりますが、その対象機器となる前提で製品化に取り組んでいます。

新技術

本製品は、当社の保有する点字ソフトウエア、点字パソコン技術等が集大成したもので、加えて、インターネット通信技術を組み合わせた総合力を随所に生かしました。

とりわけ、障害者と健常者が違う言語表現方法で「会話」する仕組みには、自動点訳ソフトとインターネット技術の新規開発もあり、これらは「点字会話機」として特許申請中です。また、これ以前に特許取得済みの2件の特許が新製品化を支えています。

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